松崎町観光ガイド 『時計塔』 | ||||||||||
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時計塔(松崎町) |
★『時計塔』をご覧になるにあたって | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ロマン溢れる町づくり! 西伊豆の松崎の町は、「なまこ壁」や「鏝絵」(こてえ)など、独特の文化を育んだ地として、とても興味深いところなのですが、そんな松崎の町に、「伊豆の長八美術館」や「カサ・エストレリータ」などとともに、とても斬新なデザインの特徴的な建築物があります。 昔ながらの和風瓦になまこ壁といった、伝統的な工法による家屋や土蔵が建ち並ぶ風情ある町並みとは、およそ似つかわしくないその建築物が、なんともユニークな『時計塔』です。 松崎の町を散策していると、町の一角に突如として現れるこの「時計塔」は、一見周囲の景観からは浮いた感のあるデザインで、賛否両論いろんな意見があるわけですが、わたしには、誰もが一瞬驚いてしまう、このデザインが持ち合わせる時代を超えた独特のギャップ感覚こそ、この松崎の町のイメージに相応しいものであり、実に松崎らしいものに感じられます。 このことは、「花とロマンのふる里づくり」をスローガンに掲げる松崎の町を、一日かけてじっくりと散策してみれば、自ずと理解出来るのではないでしょうか。 石山ワールドの極み! この「時計塔」は、那賀川沿いの「ときわ大橋」のすぐそばにある、明治時代の商家の様子を今に伝える「明治商家 中瀬邸」の土蔵前に建てられています。 子供向けの遊園地の乗り物ゲートのような、一見周りの景観をぶち壊すかのような奇抜なデザインの「時計塔」は、実は「伊豆の長八美術館」の監修を行った「石山修武」(いしやまおさむ)氏により造られました。 石山氏と言えば、インパクト絶大な衝撃的な作品を数多く残されている建築家で、鉄やガラスを使った、前衛的なその作風は一種独特で、建築会にあっては異色的な存在として知られています。 愛知県にある「幻庵」をはじめ、「ドラキュラの家」、「ツリーハウス」、気仙沼の「リアス・アーク美術館」などを手掛けており、この松崎を代表する建築物である、「伊豆の長八美術館」の建築にあたっては、1885年に和風モダンの巨匠、故「吉田五十人」(よしだいそや)氏にちなんで設けられた「吉田五十人賞」を受賞されています。 そんな石山氏の手により造られた「時計塔」なのですが、実は過去にこの場所には「時計塔」が建てられていたわけで、そういう意味では、石山氏がデザインをアレンジして復元させたという方が正確なのかもしれません。 メルヘンチックな「時計塔」 最初に建てられた「時計塔」は、1918年のお后内定から6年後の1924年1月26日に、後に「昭和天皇」となられる皇太子「裕仁親王」(ひろひとしんのう)が、後の「香淳皇后」(こうじゅんこうごう)「久邇宮良子女王」(くにのみやながこじょおう)とご成婚されたことを記念して、地元青年団の手により建てられました。 その頃の時計塔がどのようなものであったのか、わたしにはわかりませんが、それから14年後の1938年に、この松崎の町を襲った水害により、この「時計塔」は水没してしまいました。 それから長らく時計塔は姿を消していたのですが、町興し事業の一環として、1987年に、前述の石山氏により、このようなデザインの「時計塔」が復元されました。 この「時計塔」が、1987年のデザインではないことは、誰の目にも明らかなのですが、大正~昭和の古き良き時代のデザインでもあり、どこか時代を超越したメルヘンの世界のもののようでもあり、なんとも不思議な感覚の建築物となっています。 あなたは何を想像しますか? 「あれ、なんだろう?」 「××じゃない?」 「そうかなぁ~△△じゃない?」 よくこの「時計塔」の前では、あちこち指をさしては、このような会話をする人達の姿が見受けられます。 電波をキャッチするアンテナのようでもあり、何か光線を発するようでもあり、昆虫の触角のようでもある左右の角、お花のような時計下の庇、キノコのような入口に、天文台のようでも聖堂の屋根のようでもあるてっぺんのドーム、ツバメのようでもカラスのようにも見える鳥を模ったモチーフなど、見る者の想像をかき立てる実に不思議な力が、この「時計塔」にはあります。 また、内部のフレスコ画や、文字盤の絵など、この「時計塔」には、どこか謎があり、何かメッセージが隠されているようにも見えます。 それでいて、床面には、「伊豆の長八美術館」などと共通の「淡路いぶし敷瓦」を使うなど、石山氏のこだわりも窺えます。 芸術的な作品には、明確なコンセプトがあり、作者が何かを訴え表現しているものが多いものですが、この「時計塔」に限って言えば、明確なコンセプトが有ろうが無かろうが、その答えは必要ないように思われます。 謎が謎を呼ぶ・・・ 見る者にいろいろな考えを起こさせるところが、すでに石山ワールドであり、見る者が好き勝手に想像するというそのことが、この「時計塔」の最大の魅力に思えます。 みなさんには、この「時計塔」がどのように見えますか? 文字盤から羽ばたく鳥! そんな魅力たっぷりの「時計塔」ですが、実は、この「時計塔」には、明確なコンセプトが隠されています。 それが、松崎に古くから残るロマンあふれる言い伝えであり、石山氏が、この「時計塔」を、「25 hrs CROCK TOWER」という作品名にしていることからも、この伝説が背景にあることが窺い知れます。 この「時計塔」をよく見ると、通常の時計の文字盤にはありえない数字の「13」の文字がくっきりと刻まれています。 もちろん、普通に13分割されて刻まれていたならば、時計としての用が足せなくなってしまうため、「1」の文字の内側に刻まれているのですが、この「13」の文字より、時計回りに鳥が羽ばたくように描かれています。 石山氏の制作意図はわかりませんが、まるで「13」の文字を過ぎると、鳥が文字盤から飛び出してくるかのように描かれており、時を離れメルヘンの世界へ誘ってくれるように感じます。 この「13」の文字は、地元の方のお話では、零時を過ぎたありえない時刻(24時間の先に・・・)に、目の前の那賀川の水面に、松崎の幻想的な風景が映し出されるという、古くから伝わるひとつの言い伝えからきているとのことです。 石山氏が、「13」の文字を刻んだことや、この「時計塔」を、「25 hrs CROCK TOWER」としていることは、この松崎に伝わる伝説にこだわった証であり、ロマン溢れる町づくりを行う松崎のイメージを表現したものなのではないでしょうか。 25時を告げる!「時計塔」 その斬新さゆえに、いろんな方がこの「時計塔」について、ブログやホームページで意見を述べられています。 ただ面白がっている方もいれば、その制作の意図や、何を表現しているのかを皆に問いかけているもの、とにかくみんなにこの「時計塔」の存在を教えたがっているものなど、実に様々なページがあります。 わたしはこの話題性があるということそのものが、この「時計塔」の大きな存在意義になっているように感じます。 話題性があるということは、それだけで観光地 松崎の広告塔としての効果もあり、町にとっても素晴らしいことだと思います。 わたし自身、もしこのようなデザインの時計塔でなかったならば、この伊豆・駿河観光ガイドの中で記事として採り上げることもなかったわけで、当然このページも生まれなかったと思います。 安芸の「野良時計」や、「岩国城」の「からくり時計」など、全国各地、様々な「時計塔」がありますが、この松崎の「時計塔」もまた、そういった意味において、単なる「時計塔」ではなく、実に存在意義のあるすばらしい「時計塔」だと思います。 わたしはそんな「時計塔」のある松崎の町が大好きです。 日本の原風景のような田畑が続くかと思うと、「岩科学校」や「明治商家 中瀬邸」のような忠実に歴史を伝える建築物があり、また時代感覚がつかめないものや、近未来的な建築物、一連の石山ワールド作品などが、町のあちこちに点在しており、散策していると、出合った瞬間に、飛び出す絵本のような驚きと楽しみがあります。 その想像を超えた世界に出合えるということは、松崎の町が目指すロマンあふれる町づくりに通じるものがあり、とても共感できる部分でもあります。 この「時計塔」は、そんな松崎の町にあっては、無くてはならない存在であり、わたしたちに、メルヘンの世界への入り口である「25時」を告げてくれる、大事な大事な「時計塔」なのです。 |
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