♨ 浸透圧による分類
温泉は、溶存物質の総量 と 凝固点(氷点) による「浸透圧」により分類されている。
浸透圧とは、辞書では「半透膜を境にして溶液と溶媒とが接触し、浸透の現象が起こるときの両方の圧力の差」などと書かれているが、ザクっと言えば、濃度の異なるものどうしが同じ濃度に近づこうとする力だ。
温泉の浸透圧による分類は3段階となっており、人間の細胞液(8.8g/kg)とほぼ等しい浸透圧を持つものを「等張泉」とし、それよりも高いものが「高張泉」、低いものが「低張泉」となっている。
浸透圧による分類 | |||
No | 溶存物質総量 | 凝固点 | |
---|---|---|---|
1 | 低張泉 | 8g/kg未満 | -0.55℃以上 |
2 | 等張泉 | 8g/kg以上 ~ 10g/kg未満 | -0.55℃未満 ~ -0.58℃以上 |
3 | 高張泉 | 10g/kg以上 | -0.58℃未満 |
「高張泉」は人間の体よりも浸透圧が高いため、温泉の成分物質が体内へと浸透されやすくなる。逆に「低張泉」では、主に水分が体内へと浸透されやすくなる。
一見「高張泉」の方が、体に良くて効果が大きいように思えるが、実際には「高張泉」はかなり刺激の強い温泉となるので、特に皮膚の弱い人はトラブルの原因となる。
皮膚や粘膜が過敏な人や皮膚乾燥症の高齢者は、酸性泉や硫黄泉に入ると危険性があると禁忌症にも記載されている。
またそうでなくとも「湯あたり」「湯さわり」になるケースもあり、長く浸かったり一日に何度も繰り返し入ると、その危険性はさらに増すこととなる。
こちらについては、温泉とは? のページの環境省通知に書かれている通りである。
これもまた温泉の奥深さ・難しさであり、あくまでも自分の体に合った温泉を選ぶということと、適度な利用を心掛けるということが重要なわけだ。