霊山寺とは?
静岡県静岡市清水区の大内山の標高150m程の山中にある、四国八十八ヶ所を彷彿させる、山号を「鷲峰山」と称する高野山真言宗のお寺で、「大内観音」「大内の観音さん」「雨乞観音」として親しまれている、駿河三十三観音霊場の第21番札所。
霊山寺と同じ寺名ながら、四国八十八ヶ所第1番札所の"りょうぜんじ"とは異なり、"れいざんじ"と読む。
奈良時代の749年に、行基により開山されたお寺で、江戸時代の1756年に再建された、入母屋造で銅板葺の「本堂」には、御本尊である行基ゆかりの駿河七観音の1つで、15年ごとに御開帳される秘仏となっている千手観音菩薩が厨子内に安置されており、その前に前立観音が立つ。
また"天正十壬午年"と銘記された「鰐口」や「天井龍図」「天女図」などがある他、撫仏として親しまれているお賓頭盧さまも座る。
この他、室町時代の1516年に建立され国の重要文化財に指定されている、寄棟造で茅葺の「仁王門」には、日本に3つしかない特異な「蛙股」や、鎌倉前期の作とされる一木造の仁王像がある他、「鐘楼」や石仏などが建つ。
また隠れたお花見スポットでもあり、紫陽花が咲く参道である「三十三曲り」の途中には、「仁王の力石」がある他、本堂横から一本松公園へとハイキングコースも延びている。
霊山寺の見所
霊山寺登山口
霊山寺登山口には駐車場もあり、またバス停から歩いても10分程なのでアクセスは良い。ここから15分~20分くらいで登れるが、それなりに急なので、必要なら杖を借りよう。またトイレや給水施設は無いので注意!
三十三曲り
三十三曲りと言われる、登山口から仁王門へと続くつづら折りの霊山寺の参道。春には桜が咲き、6月には紫陽花が美しい花を咲かせ出迎えてくれる。途中に、庚申祭祀塔や○丁目と刻まれた石柱が建つ。
仁王の力石
三十三曲りの三丁目と四丁目の途中にある仁王の力石。この足跡を踏むと、不思議と坂道の疲れがとれるとか、足が丈夫になるという言い伝えがある。損傷が酷かったことから、1990年3月に今の様になったとか…
仁王門
室町時代の1516年2月に建立された、三間一戸八脚門の寄棟造で茅葺の仁王門。日本に3つしかない特異な蛙股があり、1931年1月19日に国の重要文化財に指定されている。静岡県内屈指の古い建築物だ。
仁王像
大きく目を見開き無住の寺を守っている、阿形・吽形の二体の仁王像。臨済寺や修禅寺・毘沙門堂・西山寺など、県内にはいろいろなタイプの仁王像があるが、一木造で本格的な仁王像だ。鎌倉前期の作とされるが詳細は不明。
茅葺屋根と扁額・蛙股
苔や草が生えた茅葺屋根の仁王門。本堂とは異なり、国の重文ということもあり、1971年に葺き替えが行われ茅葺が維持されている。『鷲峰山霊山寺』の扁額が掲げられ、通路頭上に日本に3つしかないという蛙股がある。
四国八十八ヶ所を彷彿させる
読みは違えど一番札所と同じ寺名なのもさることながら、四国八十八ヶ所を彷彿させる実に霊場巡りらしい絶景が拝める霊山寺。これだけでも、このお寺を訪れる価値があり、苦労して三十三曲りを登った甲斐があるというものだ。
鐘楼
明治時代の1888年に再建された鐘楼。1691年に山麓で造られた梵鐘があったが、戦時中に供出され、現在のものは1979年3月に檀家などにより新鋳され奉納されたもの。自由に鐘を撞くことができる。
本堂
江戸時代の1756年に再建された、単層入母屋造で銅板葺の本堂。1963年までなぜか市の文化財にも指定されず、茅葺屋根も1934年7月に銅板葺になってしまった。回廊がぐるりと巡っていて、ここから静岡市街地を一望できる。
お賓頭盧さまと鰐口
本堂正面右手に、東大寺や善光寺などでお馴染みの、撫仏として親しまれているお賓頭盧さまが座っている。鰐口は、"天正十壬午年"と刻まれた、本能寺の変で知られる1582年の作で、静岡県の文化財となっている。
堂内と天井装飾・お賓頭盧さま
15年ごとに御開帳される、県の文化財となっている御本尊の千手観音菩薩が納まる厨子前に前立観音が立つ。天井龍図は、柴田泰山・神戸麗山と共に庵原三山と称された山梨鶴山の作で、天女図3枚と共に市の有形文化財に。
釈迦如来の石仏と結神
江戸時代より縁結びの御利益があるという、右手の男神・女神が刻まれた結神。左上のお釈迦様とともにお参りすると良いらしい。この他写真は載せなかったが、なぜかアンパンマン!?の石像がある。
駿河三十三観音霊場 最大の見せ場だよ!
参道と待ち受ける伽藍、そして眼下の眺望は、四国八十八ヶ所を彷彿させ、とにかく最高だよ!
行基ゆかりの駿河七観音の1つだよ!
仁王様もスゴいが、秘仏が収まる厨子の装飾や前立観音に注目!お賓頭盧さまを撫でるのも忘れずにね!
天井図・蛙股・仁王の力石を見逃すな!
本堂の天井龍図や天女図、仁王門の蛙股、三十三曲がりの途中にある仁王の力石を見逃すな!
霊山寺 編