流鏑馬祭とは?
静岡県富士宮市にある、2013年に世界遺産に登録された「富士山本宮浅間大社」にて執り行われる神事の1つで、鎌倉時代の1193年に、源頼朝が富士山麓で巻狩りを行った際に奉納したのがその始まりとされる。
毎年5月のゴールデンウィーク期間中の4日・5日・6日に開催され、中日5日の本祭で、境内の桜の馬場にて、富士宮市の無形民俗文化財に指定されている、伝統的な古式の「浅間大社流鏑馬式」と、小笠原流の流鏑馬である「神事流鏑馬式」が観られる。
またその合間には、富士宮市街地を練り回る「練行」が行われ、こちらも人気となっている。
神事としては、本祭の前日の4日に「川原祓」「馬場祓」「流鏑馬前日祭」「かむなかけの儀」が、翌日の6日には「流鏑馬後日祭」が執り行われる。
ちなみに流鏑馬そのものは、平安時代から行われ、鎌倉幕府の公式行事として鶴岡八幡宮にて奉納された記録も残り、弓術の中でも笠懸や犬追物などとともに騎射の代表格として知られている。
現在では、天下泰平や五穀豊穣などを祈願する、競技ではなく神事として執り行われることがほとんどで、「小笠原流」と「武田流」の流鏑馬が知られている。
富士山本宮浅間大社で行われる小笠原流の流鏑馬は、源頼朝に仕えた小笠原長清を始祖とする流派で、江戸時代の8代将軍吉宗の頃に、現在のような流儀を制定したとされ、三嶋大社などで行われる武田流の流鏑馬に比べて、質素で古来武家的とされる。
流鏑馬祭の見所
富士山本宮浅間大社
世界遺産登録以降、富士山本宮浅間大社は平日でも外国人観光客などで賑わう所だが、流鏑馬祭では更に祭り気分一色となり、GW期間中ということもあって、朝から大賑わいとなる。午前9時過ぎで、参道はこんな感じ!
桜の馬場
楼門前の東鳥居(馬場元)から西鳥居(馬場末)まで続く、流鏑馬の舞台となる桜の馬場。150m程しかないので、的は3つではなく2つとなっている。それでも全力で馬が疾走すると、2本目の矢の準備がきつくなることも…。
流鏑馬祭 本祭
5日の流鏑馬祭の本祭は、午前9時より本殿にて始まる。宮司や神職、氏子の代表、神饌を奉納する甘葛太夫、射手代官、古式射手や神事流鏑馬式射手などが参列する中、儀礼にのっとって執り行われる。
神事を見守る平騎射
関係者が参列する中、粛々と神事が進められていくが、正式な参列者ではない平騎射の皆さんも、午後の出番に向けやや緊張した面持ちで、遠くから儀式の様子を見守っている。
浅間大社流鏑馬式
市の無形民俗文化財に指定されている、富士山本宮浅間大社に伝わる古式の流鏑馬式だ。楼門前に参列した宮司や氏子の前で、神前でお祓いをした弓矢を用い、儀礼的に天を射、大地を射、四方を射て、最後に板的に矢が放たれる。
神事流鏑馬式
市内を練り歩く練行が終わると、いよいよ神事流鏑馬式だ。馬場元から射手が入場し馬場末で整列し、流鏑馬開始の奉行命を受け、また馬場元へと駒を進めていく。見る側にも段々と緊張感が走り、馬場の雰囲気も変わっていく。
流鏑馬射手と平騎射
よく見ると三騎だけ装束が異なる。分かりやすいのは頭の笠と背中の矢の数の違いだろう。初めの三騎を流鏑馬射手、その他を平騎射と呼び、狭義な意味で正式な流鏑馬と言えるのは、初めの三騎のみとなる。
紅白の大扇
前の騎射が終わると、新たな板的が懸けられ、馬場の安全確認の後、馬場元と場場末が紅白の大扇をかざして合図を送り、所定の準備が整ったことを確認し合う。何とも奥ゆかしい光景だ。
流鏑馬射手
綾藺笠(あやいがさ)を被り、正装で腰には行縢(むかばき)を巻き、矢も5本で、箙(えびら)には雁又の鏑矢が差さっている。一の射手が、金銀表裏の揚げ扇の儀を終えると、天高く扇を投げ上げスタートとなる。
小笠原流 流鏑馬の真骨頂
小笠原流の流鏑馬の真骨頂は、この的中して弾け飛ぶ板的と、バシィという痛快な音だ。武田流の華やかな的とは違い質素ながら、こちらの方が武家的で個人的には好きだ。
平騎射
騎射挟物とも言われる平騎射は、装束が簡素化されていて軽装だ。栗色に塗られた竹の騎射笠を被っている他、襟元や袖口を見れば違いは一目瞭然だ。矢を入れる箙も使用せず、帯には2本目の矢だけ差さっており、矢先も異なっている。
神事流鏑馬當り的
流鏑馬で的中した板的は、家内安全・無病息災のお守りになる縁起物となっており、神事が終わった後に初穂料を納めれば頂ける。当たり的は割れ方もすべて異なり、しかも早い者勝ちなので、選びたい人は早めに並ぼう!
早めの場所取りが重要だよ!
早めに場所取りをしよう!ただしモノを置くのはダメだよ!おすすめは、馬が正面から向かってくる西の鳥居付近!
縁起物の「神事流鏑馬當り的」をゲットしよう!
初穂料を納めれば、早い者勝ちで家内安全・無病息災のお守りになる當り的が頂けるよ!
流鏑馬の流儀や装束の違いに注目!
小笠原流の神事流鏑馬式だけでなく、古式流鏑馬式や練行も観に行こう。また装束にも注目!
流鏑馬祭 編