下之坊とは?
静岡県富士宮市にある、山号を「大日蓮華山」と称する、日蓮正宗の寺院。
もともと南条氏の下屋敷にあった持仏堂をもとに、1289年に南条時光により開基、身延山を離山し身を寄せていた日興により開山されたお寺で、日蓮正宗発祥の霊地。
翌1290年に、北へ2kmほど行った所に大石寺が創建され、大石寺を「上の御坊」と呼びだしたことを受け、「下の御坊」と呼ばれるようになったのが、その名の由縁とされる。
荒廃・移転・焼失などで、創建時の伽藍はわかっていないが、昭和になって再建された山門や本堂となるお堂が建てられている。
また静岡県内屈指の藤の名所として知られ、境内には総延長400mに渡って藤棚が続いている他、隠れた富士山の絶景スポットにもなっている。
この他、日興の弟子の日仙が、身延離山の折に、荷造りで紐に代わり使用した蔓草が流れ着き生長したとされる、「かなと蔓」ゆかりの霊跡にもなっている。
下之坊の見所
日蓮正宗発祥の地
1289年に、日蓮の直弟子だった他の5人の弟子たちとの宗教的見地の違いから身延山を離山し、南条時光の下屋敷にあった持仏堂に身を寄せていた日興が、日蓮正宗を新たに開いたのがこの辺りだったという。下之坊は荒廃や移転・焼失などを経て、創建当時の伽藍は残されていないが、この地が日蓮正宗発祥の地であることに変わりはない。
印象的な石垣
何も知らずに通りがかりに、初めて下之坊に立ち寄った時には、桜や藤の花とは無縁の寂しい季節だったので、切込み接ぎの石垣だけが、妙に印象に残ったのを覚えている。
南条氏の下屋敷だった…
かつてこの辺りは、南条氏の下屋敷だったというが、何となくそれを彷彿させる石垣と門構えを見せる佇まいだ。
シンメトリーの美しさ
1973年に再建された小さなお堂ながら、その姿は趣深く実に美しい。寺院建築においては、シンメトリーなデザインが数多く存在するが、なぜだかわからないが、下之坊の本堂は特にそれを感じさせ、強烈な印象とともに美を感じる。国宝である国東半島の富貴寺などとは異なり、大原野の善峯寺の護摩堂のような感じで、左右の火灯窓が効いており、屋根のウェイトが大きいのも特徴的だ。小さなお堂ながら、建築の奥深さを改めて感じる。
春のお堂の美しさは格別!
傍らに桜の花を添え、雪化粧をした富士山をバックに佇む春のお堂の美しさは格別だ。お堂が楼閣建築のようなドーンと主張するような大きさではなく、それでいて印象的な佇まいを見せるのが良いのだろう。藤の名所として知られているため、この時期に下之坊を訪れる人は少ないが、個人的にはお花見シーズンの下之坊も大好きだ。お花見で大石寺を訪れる人は多いだろうから、是非とも帰りがけに立ち寄ってほしい!
間が何とも言えず…
荒廃や移転・焼失などで、今となっては創建時の伽藍は知るすべもないが、空間的に間が多い現在の境内には独特の開放感が感じられ、これはこれで良い気がする。
桜の花と富士山
墓地であろうがなかろうが、桜の花と富士山がセットになれば、どこでも絵になる美しさで、実に日本らしい光景となる。境内の横への空間的な広がりが、富士山を一層美しく見せている。
藤の名所
静岡県内屈指の藤の名所として知られる下之坊。ほとんどの方が、このフジの花を目当てにここを訪れる。総延長400mにも渡って藤棚が続いており、藤棚以外にもまるでオブジェのようなフジの木が植えられ、この時期の下之坊は、境内が藤一色に染まる。静岡県内にはいくつか藤の名所があるが、個人的には落ち着いて観賞できることもあり一番好きな所だ。
向陽亭
下之坊の境内の東側には、くの字型に向陽亭が建てられている。門徒が一堂に会せる場所となっているのだが、その前にも藤棚が続いている。
かなと蔓(かなとづる)の霊跡
身延離山の折、日興の弟子の日仙が荷造りで紐に代わり使用した蔓草が、大石寺にて放たれ、それが大堰川の流れに乗りこの地に流れ着き、やがて根付き樹木に絡まり生長したとされる。
日蓮正宗発祥の地で、かなと蔓の霊跡だよ!
身延離山の際に、弟子の日仙が荷造りで使用した蔓草が、大石寺から流れ着き根付いたとされる逸話の舞台だよ!
春のお堂の美しさをご覧あれ!
雪化粧をした富士山をバックに、桜の花で彩られた本堂の姿は格別だよ!
藤棚が美しい5月上旬がおすすめ!
藤の名所として知られ、境内にある総延長400mにも及ぶ藤棚の眺めは圧巻だよ!
下之坊 編