竹林の小径とは?
伊豆を代表する温泉地である、静岡県伊豆市の修善寺温泉の温泉街を流れる桂川沿いにある、朱塗りの橋が美しい桂橋から楓橋、さらに上流の滝下橋にかけてつくられた約300mの趣のある散策路。
1994年から3年をかけ整備された散策路で、中央に大きな竹製の円形ベンチが設けられている他、小径沿いに「竹林の小径」と刻まれた石碑や、イベントなどが行われるギャラリー「しゅぜんじ回廊」がある。
夜間にはライトアップも行われ、日中とは趣の異なる景観を楽しむことができる。
竹林の小径の見どころ
小径と言えば…
駿河湾一帯の静岡県には、下田の「ハリスの小径」「松陰の小径」をはじめ、伊豆高原の「万葉の小径」、焼津の花沢の里の「やきつべの小径」など、いくつか小径と呼ばれる散策路がありますが、伊豆市修善寺にある小径と言えば、ご存知「竹林の小径」(ちくりんのこみち)です。
花灯路で有名な、京都嵯峨野の野宮神社(ののみやじんじゃ)から大河内山荘に至る散策路をはじめ、全国には竹林の小径と呼ばれる場所をいくつか耳にしますが、そんな中で最も有名であり、あの世界的権威のグリーン・ミシュランこと「ギド・ヴェール」にて二ツ星に輝いたのが、この修善寺回廊「竹林の小径」です。
この「竹林の小径」は、修善寺の町の中心を流れる桂川沿いにあり、修善寺のシンボルとして知られる「独鈷の湯」(とっこのゆ)の脇を通り抜けた先の、朱塗りの橋が美しい桂橋から楓橋、さらに上流の滝下橋にかけての約300mの散策路をいいます。
道の左右には見事な竹が立ち並ぶとともに、石畳の道がとても美しい散策路となっており、修善寺を訪れる観光客に人気のスポットとなっています。
静寂の中に流れる贅沢な時間
この竹林の小径は、もともとこの地区に生い茂っていた竹を活用すべく、1995年に桂橋から楓橋までの区間を、さらに1997年に赤蛙公園へと抜ける滝下橋までの区間を整備し誕生した散策路でした。
それが、石畳が続くなんとも風情ある光景が楽しめる場所…ということから徐々に人気となり、今では「修禅寺」と並ぶ修善寺の一大観光名所にまでなりました。
早朝の朝露に濡れた石畳の上を、桂川の清流のせせらぎに耳を傾けながら歩けたり、竹林の間から差し込む木漏れ日が心地よかったり、竹林を通り抜ける風を感じたりと、実に贅沢な時間が楽しめる場所となっています。
また秋にはイロハカエデを中心に色づきを見せ、静岡県の紅葉スポットとしても人気の場所となっています。
特に明け方の散歩では、ただでさえ通りの生活音から遮断された空間であるうえに、早朝の静けさも相まって、ここには完全に日常の喧騒から切り離された世界が広がっています。
また、この竹林の小径の途中には、茶処や和風ギャラリーなどがあり、どことなく散策気分を盛り上げてくれるとともに、竹林の中に設けられた何気ない竹製の大きな円形ベンチが、実に絵になる光景を作り上げています。
ここに座り、目を閉じて竹の擦れる音に耳を傾けていると、静寂の中にとても贅沢な時の流れが感じられ、至福のひと時を過ごすことができます。
是非皆さんも早起きをして、一度この静寂を体験してみて下さい。
親孝行者の孟宗
この竹林の小径に生える竹は、「孟宗竹」(もうそうちく・もうそうだけ)と呼ばれる中国原産の竹で、何百種類もあると言われる日本の竹の中では、最も大きく成長する竹と言われています。
竹について詳しく知りたい方は「富士竹類植物園」へ行って頂くとして、その高さは20mを超えると言われており、多数の小枝に分かれ、数枚の葉をつけ成長を続け、毎年春になると、鮮やかな青葉と入れ替わり、美しい姿を見せてくれます。
孟宗竹の名前の由来は、三国時代の中国の呉に実在した、親孝行者として知られる二十四孝の一人である「孟宗」からきています。
病を患っていたタケノコ好きの母が、初冬にタケノコが食べたいと欲するため、母のために雪の竹薮に分け入った孟宗でしたが、この時期にタケノコがあるべくもなく、困りはて涙を流しながら願いを込めて探し回ると、突然タケノコが生えてきて、母にタケノコを食べさせてあげることが出来たという逸話からきています。
凛々しい竹の姿からは想像できない心温まる逸話なのですが、この修善寺の孟宗竹も、訪れる者を温かく包み込んでくれるような竹林となっています。
風情ある竹の庭園
そんな孟宗竹が生い茂る竹林の小径の入口にあたる桂橋の袂にあるのが、茶処「竹の里 水ぐち」です。
その名の通り風情ある竹の庭園といった感じで、青竹をはじめシャクナゲやアジサイなどの花が楽しめ、とても趣のある空間となっています。
一瞬、京に来たのでは…と思ってしまうこの茶処は、景観だけでなく抹茶やコーヒー・和菓子・あんみつと味覚も楽しめ、まさに寛ぎのひと時を味わえる場所となっています。
散策の後にでも、時間をかけゆっくりと味わってみてください。
真夏の夜の祭典!現代版「桂座」
楓橋を渡り、上流の滝下橋に向けて竹林の小径を進んでいくと、途中に「しゅぜんじ回廊」と呼ばれる和風ギャラリーがあります。
この「しゅぜんじ回廊」では、日本画や修善寺の歳時記などの写真展示を行う一方で、生け花の展示会や地元の企画展など、さまざまなイベントが行われています。
2000年の夏からは、かつて温泉街の娯楽の中心であった芝居小屋の「桂座」にちなんだイベントにも利用され、期間中はこの「しゅぜんじ回廊」が、野外劇場「桂座」へと姿を変えました。
8月初頭からの2週間、「しゅぜんじ回廊」の特設ステージにて、世界を舞台に活躍するミュージシャンと、地元の活動家によるライブなどが行われました。
2007年からはその活動を大きく広げ、舞台を「しゅぜんじ回廊」から「修禅寺」本堂へ移し活躍を続けています。
興味のある方は、娯楽のカタチもステージも異なりますが、現代版の「桂座」で繰り広げられる数々の祭典を楽しんでみて下さい。
詳しくは「桂座」で検索をするか、観光協会のホームページなどで確認してみて下さい。
名湯を楽しんだ後は・・・
この竹林の小径では、さまざまなイベントが催されてきました。
毎年行われるものもあれば、単発イベントもありますが、かつて江戸幕府の御用紙として用いられた修善寺紙を使った「和来の里七夕祭り」(わらいのさとたなばたまつり)が、個人的には印象的なお祭りでした。
桂川を天の川に見立て、楓橋に竹のトンネルをつくり、修善寺紙で作った短冊を飾る、実に修善寺らしい風情あるイベントで、「しゅぜんじ回廊」にも七夕飾りが設けられるなど、竹林の小径に相応しいイベントとなっていました。
現在も七夕祭りとして残されていますので、タイミングの合う方はこの季節に修善寺温泉へ訪れてみて下さい。
また夜間には竹林の小径のライトアップも行われ、日中の竹林の風景とは異なった趣のある景観を楽しむことができます。過去には、切り絵によるライトアップなどが行われた年もありました。
静寂に包まれた早朝の散歩がイチオシですが、修善寺の名湯を楽しんだ後も、是非この「竹林の小径」を散策してみてください。
円形ベンチで贅沢な時間を過ごそう!
ただ竹林を通り抜けるのではなく、円形ベンチに腰かけ目を閉じ竹の音に耳を傾けてみよう!
朝一番の静寂に包まれた竹林のお散歩がおすすめだよ!
人気の観光地だけに、ひとけの無い竹林の中で心を研ぎ澄ますことができる早朝が一番!
新緑の季節の竹のパワーを感じよう!
全身でグリーンシャワーを感じられる新緑の季節の竹のパワーは凄いぞ!
竹林の小径の見どころ
竹林の小径のおすすめ時期
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月新緑 | 6月 | 7月七夕 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月紅葉 | 12月紅葉 |
竹林の小径の基本情報
名称 | 竹林の小径 |
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読み方 | ちくりんのこみち |
郵便番号 | 〒410-2416 |
所在地 | 伊豆市 修善寺1031-1他 |
駐車場 | なし |
お問合せ | 0558-72-2501(伊豆市観光協会) |
参考HP | 伊豆市観光協会 修善寺支部 |
するナビ | 修善寺の観光スポット |
アクセス | 伊豆箱根鉄道「修善寺駅」徒歩40分 ⇒東海バス「修善寺温泉」下車 徒歩5分 ⇒伊豆箱根バス「温泉場」下車 徒歩5分 |