蛭ヶ谷の田遊びとは?
静岡県牧之原市蛭ヶ谷にある蛭児神社(ひるこじんじゃ)を舞台に、例年2月の第2土曜日の18時頃より夜中にかけて開催される伝統的な民俗芸能。
鎌倉時代より口承されてきた五穀豊穣と子孫繁栄を願う伝統民俗芸能で、「御田打祭」「ほた引祭」とも言われる予祝行事。
笛や太鼓などの祭囃子が一切なく、台詞と所作だけで、静けさの中厳かに執り行われるのが特徴で、2012年3月8日に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
蛭ヶ谷の田遊びの見どころ
国指定重要無形民俗文化財
牧之原市の蛭児神社を舞台に、2月の第2土曜日に開催されている『蛭ヶ谷の田遊び』。以前は毎年2月11日に執り行われていたが、昨今の社会事情もあり第2土曜日となった。
鎌倉時代より口承されてきた五穀豊穣と子孫繁栄を願うこの伝統民俗芸能は、2012年3月8日に国の重要無形民俗文化財に指定されたわけだが、少子化や過疎化の問題だけでなく、難しい演目が並ぶだけに受け継ぐのも大変だ。
番外の『矢納め』に始まり、1番の『ほた引き』から17番の『蓬莱山』、そして最後に『ほた小僧を桜の木に結わえる儀式』が行われるが、この内 獅子頭の紛失により早々に行われなくなった8番の『獅子』と、明治初期より17番の『蓬莱山』は行われていない。またその年の状況により行われない演目もある。
茶の着物に縦縞の袴姿で、頭に白い紙垂が無数に付けられた綾笠を被った男や孕女(うぶめ)などが登場し、前半は神々を呼び寄せ太刀や木刀を使った四方切りで斎場を清め結界を施す演目が続き、9番の『田打ち』以降は稲作を模した豊作を祈願する演目となる。
【演目】番外:矢納め ①ほた引き ②里田打ち ③本刀振り ④もどき(本刀振り) ⑤長本刀振り ⑥木長刀振り(長本刀振りもどき) ⑦杵振り ⑧獅子 ⑨田打ち ⑩牛ほめ ⑪鳥の口 ⑫御草押し ⑬麦搗き ⑭麦洗い ⑮田植え ⑯稲刈り ⑰蓬莱山 番外:ほた小僧を桜の木に結わえる儀式
5番:長本刀振り
薙刀のような長い柄の付いた刀を使い、四方切りにて斎場を祓い清める。篝火をバックに浮かび上がる決めポーズがカッコいい。
元々は旧暦1月13日に行われていたという蛭ヶ谷の田遊びは、一時期2月11日の建国記念の日に行われていたが、現在は2月の第2土曜日に執り行われている。
農家の方ばかりではなく、また実生活ともかけ離れた祭りだけに、日取り一つとっても受け継いでいくのは大変なことだ。
6番:木長刀振り
木刀による5番のもどきとなる演目で、カラス飛びという所作が見られる。
キャンプファイヤーのような田の字に組まれた大掛かりな篝火を前に、淡々と演じられる。風向きで熱かったり煙かったりするので、演ずるのも大変だ。観る方も風下に居ると大変だが…。
ちなみに篝火だけを上手に管理する係の方がいるだけでなく、周囲の木立へ火の粉が飛んで延焼することもあるため、境内には消防ホースが引かれており、消防団の方が常に看視し、必要に応じて放水を行っている。
9番:田打ち
本殿前に、親方を中心に3人の田打衆が立ち、石段を田に見立て、上ったり下りたりしながら鍬で田打ちを行う。蛭ヶ谷の田遊びとして、よく紹介されているシーンだ。
その後篝火の前に移動し、田の神様を呼び、ハレの御馳走となる高盛飯を食べ酒を酌み交わす。寒さと静けさ漂う中、かなり長い時間演じられる代表演目だ。
この9番の『田打ち』以降は、稲作の作業次第を模擬的に演じた豊作を祈願する演目が続いて行く。
13番:麦搗き
桶を臼に見立てて、身籠った孕女と綾笠を被った男が、刈り取った麦の穂を縦杵でつく所作を行う。どこか懐かしくホッとする日本人の郷愁を誘う光景だ。
蛭ヶ谷の田遊び全体を通じて言えることだが、煌々と照らされた照明の中演じられるのではなく、篝火など限られた明かりの中で行われるので、そこに趣のある印象的なシーンが生まれ、心が揺さぶられる。
15番:田植え
綾笠の男や孕女、ほた小僧を背負う者、菅笠を被る使用人!?など数名が輪になって、杉の葉を苗に見立てて、葉をちぎり田に放る所作を繰り返しながら少しづつ回って行く。
一般的にイメージする、いわゆる腰をかがめて行うあの田植え作業の所作は見受けられない。まるで直播きのような所作だ。
鎌倉時代にはもう直播きではなく田植えが主流だったと記憶しているが…、それにそもそも『田植え』と言う演目なので、苗代で育った苗を水田に植えるものだと思っていたが、どうも違うらしい。
なぜ直播きのような所作なんだろう…、なんて考えを巡らせながら観ていた。
ほた小僧が待っている!?
16番の稲刈りが終わると、境内は祭りが終わったムードに包まれ多くの人が神社を後にするが、ここで帰ってはいけない!
すべての演目が奉納され、篝火も弱まり境内が静まりを取り戻す頃、演目にも登場した13尋半(約24.5m)の新藁の縄に結ばれた、杉の束で作られた「ほた小僧」と呼ばれる稲魂を象徴する人形が、本殿右手の桜の木の根元に結わえられる儀式が行われる。
寒い中せっかくここまで祭りを観てきたのだから、最後まで見届けよう!
ほた小僧が無事桜の木に結ばれると、これをもって約5時間に渡り長丁場で行われてきた、国の重要無形民俗文化財である『蛭ヶ谷の田遊び』は、すべて終了となる。
祭りにつきものの笛や太鼓などのお囃子は一切ないよ!
祭囃子などの和楽器は一切登場せず、静けさ漂う中、台詞と所作だけで厳かに演じられるよ!
前半は結界を、後半は稲作をテーマに見よう!
18時半頃から5時間超の長丁場となるので、腹ごしらえと寒さ対策は万全にね!
演目終了ですぐに帰らないように!
16番の稲刈りの後、暫くして「ほた小僧」を本殿右手の桜に結わえる儀式が行われるよ!
蛭ヶ谷の田遊びの見どころ
蛭ヶ谷の田遊びのおすすめ時期
1月 | 2月第2土曜 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
蛭ヶ谷の田遊びの基本情報
名称 | 蛭ヶ谷の田遊び |
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読み方 | ひるがやのたあそび |
郵便番号 | 〒421-0503 |
所在地 | 牧之原市 蛭ヶ谷1(蛭児神社) |
駐車場 | なし |
お問合せ | 0548-53-2623(牧之原市観光課) |
参考HP | 牧之原市役所 |
するナビ | 牧之原市の観光スポット |
アクセス | JR東海道線「金谷駅」 ⇒静鉄バス「JA萩間支店」下車 徒歩2分 |