徳山の盆踊とは?
静岡県川根本町の徳山郷に伝わる、毎年8月15日の浅間神社の例祭にて奉納される盆踊りで、1987年12月28日に国の重要無形民俗文化財に指定、2022年11月30日にはユネスコ無形文化遺産に登録された民俗芸能。
「鹿ん舞」「ヒーヤイ」「狂言」の3部構成で、小歌踊と狂言を交互に演じるなど、近世初期の古歌舞伎踊を彷彿させる貴重なもので、徳山古典芸能保存会と地元の小中学生により、16の演目が舞堂にて披露される。
鹿ん舞は、牡鹿が2頭の牝鹿と小鹿を従え、2本の綾棒をクルクルと回して飛ぶような軽快な踊りを繰り返した後ピタリと静止し、牡鹿が左右を窺い「ソリャーウンハーイ」の言葉とともに疾走する所作が特徴的。
『桜花』『牡丹』などの演目が披露されるヒーヤイは、綾棒や扇を持って舞う小歌踊で、かつては女装した男性が踊っていたという。名の由来ともなっている唄の途中に挿まれる「ヒーヤイ・ツン・テン・トン」の囃子詞が特徴的。
『頼光』『新曽我』の演目が披露される狂言は、かけ合いが面白く、残されている台本の中には、江戸時代の宝暦9年(1759年)のものもある。
また途中の休憩時間には、「注連縄の花火」や約50㎏ある「露払い」を担いで舞堂を一周するとビールが貰える!?というユニークな催しも行われたりする。
浅間神社での演目終了後には、愛宕地蔵堂に赴き『神すずしめ』を奉納し、祭りは終了となる。
徳山の盆踊の見所
浅間神社
立派な御神木が立つ、木花之佐久夜毘売・大己貴神・誉田別尊の三柱を祀る浅間神社。本殿は1828年建立で、拝殿は1937年に改築されている。ここの例祭で奉納されるのが、国指定重要無形民俗文化財の「徳山の盆踊」だ。
徳山の盆踊あるある
左上:狛犬ならぬ鹿ん舞が控える浅間神社。右上:拝殿が一段高く、舞堂を見下ろすここの石垣が特等席となる。左下:早く行けば、鹿の被り物をしての記念撮影ができる。右下:神輿や鹿ん舞の前を行く、重さ約50kgの露払い。
鹿ん舞
1・5・10・14番で演じられる鹿ん舞。鹿の被り物をし、クルクルと紅白の綾棒を回しながら飛び跳ねるように舞う。農作物を荒らす獣を追払い豊作祈願をしたのが始まりだったが、いつしかヒーヤイの周りを警固して踊るものとなった。
ソリャーウンハーイ!?
昔は20歳の若者が演じたが、現在は中学生が中心だ。先頭の牡鹿が2頭の牝鹿と小鹿たちを従え、飛ぶような踊りの後ピタリと動きを止め、左右を窺ったのち「ソリャーウンハーイ」の言葉とともに急に走り出す動きが面白い!
ヒーヤイ『桜花』
6番と11番で、小学生組と中学生組に分かれて踊る。三度笠に綾棒を持ち舞う京らしい小歌踊りで、所謂盆踊りとは全く異なる。過剰演出で商業的な祭りが多い中、古き良き伝統を受け継ぐ昔ながらの日本の夏にホッとさせられる。
ヒーヤイ『牡丹』
こちらも7番と12番で小中別々に踊られるが、扇子を用いて頭をかしげながら歩く様や、「ヒーヤイ」の掛け声で足を左右に少しだけ動かすところなど、とても子供とは思えない奥ゆかしさを感じる。
狂言『頼光』
狂言は、15演目中江戸時代の宝暦九年(1759年)の台本など14の台本が残されているが、現在行われているのは8番の『頼光』と13番の『新曽我』の2演目だけだ。台詞に耳を傾けないと、かけ合いの楽しさは分からないよ!
注連縄花火
8番『頼光』の後の休憩時間には、拝殿で注連縄花火が行われたり、前述の重さ約50kgの露払いを担いで舞堂を一周できればビールが貰えるという、飛び入り参加OKのユニークな催しも行われる。力自慢は是非挑戦を!
『かぼちゃ踊り』
小学生組も中学生組も娘たち全員で踊る15番『かぼちゃ踊り』。少しテンポが異なる感じで華やかな踊りだ。それにしてもヒーヤイもそうだが、落ち着き払った所作といい艶やかさといい、とても小中学生の踊りには見えない。
踊り『ひきは』
娘たちに狂言方や囃子手も加わり皆で輪になって踊る、浅間神社での最後の演目だ。特別盛り上がりはないが、盆踊りをエンディングへと誘って行く。この後、愛宕地蔵堂に赴き『神すずしめ』を奉納して祭りは終了となる。
オモシロい所作が見られる「鹿ん舞」に注目!
鹿の被り物をし、クルクルと紅白の綾棒を回転させながら飛び跳ねる軽快な踊りで、途中でピタリと止まり、牡鹿が左右を窺ったのち急に走り出す動きがオモシロいよ!
「ヒーヤイ」の掛け声と、優雅に舞う娘たちに注目!
囃子詞から「ヒーヤイ」と呼ばれる踊りで、浴衣姿の娘たちが小歌に合わせて優雅な舞を披露するよ!
国の重要無形民俗文化財からユネスコ無形文化遺産に!
静岡県内では希少だった国の登録無形民俗文化財が、なんとユネスコ無形文化遺産に!
古歌舞伎踊を彷彿させる「鹿ん舞」「ヒーヤイ」「狂言」の3部構成になっているよ!
徳山の盆踊 編